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東京地方裁判所 昭和51年(特わ)327号 判決

本店の所在地

東京都台東区元浅草三丁目二一番一一号

法人の名称

(株)松野製帽

(右代表者代表取締役松野貞幸)

本籍

東京都台東区元浅草三丁目五番地

住居

同都同区元浅草三丁目二一番一一号

職業

会社役員

松野貞幸

大正一〇年八月三一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官神宮寿雄出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社(株)松野製帽を罰金五〇〇万円に、

被告人松野貞幸を懲役五月にそれぞれ処する。

ただし、被告人松野貞幸に対しこの裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社(株)松野製帽は、東京都台東区元浅草三丁目二一番一一号に本店を置き、ベビーフード・婦人帽子・子供各種帽子の製造及び販売を営業目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人松野貞幸は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人松野は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して、簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四七年三月一日から同四八年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三〇、五九〇、九二〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同年四月二八日同都同区蔵前二丁目八番一二号所在の所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が、六、四三五、五三〇円でこれに対する法人税額が二、一〇二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、九七九、三〇〇円(別紙(三)法人税額計算書参照)と右申告税額との差額八、八七七、〇〇〇円を免れ

第二、昭和四八年三月一日から同四九年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四一、三〇九、四一三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同年四月三〇日前記浅草税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が、七、〇八〇、五八七円でこれに対する法人税額が二、三三九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額一四、九一八、五〇〇円(別紙(三)法人税額計算書参照)と右申告税額との差額一二、五七九、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書

一、被告会社の会社登記簿謄本

一、収税官吏倉橋豊作成の売上調査書(売上高)

一、同じく 現金売上調査書(〃)

一、同じく赤坂幸雄作成の簿外預金残高および受取利息調査書(受取利息)

一、松野貞幸提出の昭和五〇年四月一一日付金銭消費貸借契約書写(〃49/2期)

一、浅草税務署長作成の証明書添付の四七年二月期法人税決議書写(家賃収入、雑収入)

一、収税官吏木下正一作成の事業税認定損調査書(事業税)

一、浅草税務署長作成の昭和五〇年四月二一日付証明書(価格変動準備金)

一、収税官吏木下正一作成の公租公課調査書(49/2期分公租公課)

一、松崎信之の収税官吏に対する昭和五〇年三月一七日付質問てん末書問六(49/2期分棚卸商品)

一、松野貞幸提出の昭和五〇年四月一一日付取締役会議事録写(49/2期給料)

一、押収してある左記証拠物(その他の科目及び公表額、過少申告の事実)

1  昭和四八年二月期分総勘定元帳(昭和五一年押第八八二号の符一)

2  昭和四九年二月期分総勘定元帳(右同符八)

3  昭和四八年二月期分法人税確定申告書(右同符五)

4  昭和四九年二月期分法人税確定申告書(右同符六)

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一六四条一項、一五九条、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。 よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙(一) 修正損益計算書

株式会社 松野製帽

自 昭和47年3月1日

至 昭和48年2月28日

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

株式会社 松野製帽

自 昭和48年3月1日

至 昭和49年2月28日

〈省略〉

別紙(三)

ほ脱税額計算書

株式会社 松野製帽

〈省略〉

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